鍼の本数(1)~一本鍼から100本鍼まで、どう違う?どちらがいい?
今日の内容はあくまでも私見ですのであしからず。
私は一本鍼が体に合っています。
一本鍼とは一番バランスの崩れているツボを探して、その左右差を整えることで、全体を整えるというものです。
戦いの大将を引きずり出すと、総崩れになるという戦法です。
一本鍼は受けている側に負担がほとんどなく、気の流れがザーッと感じられて、体の変化を感じる過程が心地よいのです。
何百というツボの中から、たった一穴を選んで、鍼の向き・深さ・時間、すべてがピタッと合ったとき、体が分子レベルで溶けていくようです。
深いトラウマまで流れ去って、無邪気な幼児に戻ったような軽さを味わいます。
これならガンになっても、増殖する細胞の鎖を断ち切ってくれるだろうと思えます。
少数鍼で施術している鍼灸師は「たくさん打ったら、何がどう効いているか分からない」と言われます。
確かに、鍼灸医学を学びやすいように理論化するためには、1つのツボだけ使って検証する必要があります。
一本鍼の経験の積み重ねによって「このツボはこんな特性を持つ」ということがわかるのです。
鍼を行う側にとっては、一本で決めるのはハードルの高いことです。
見事大将を捕まえればすごい効き目だげど、小者だったときには「はぁ?」ということになりますから。
また、一本で思うような効果を出そうとしたら、鍼を刺す・抜く一瞬のうちに、手に伝わる情報をキャッチして、様々な操作をしているのです。
私の場合は、蓮風院長が一本でやられてることを、数本使って再現しようとすることも多々あります。
1穴に絞ることは、理論的にも問題の優先順位をパチッと決めることです。
体はすべて影響し合ってますから、胃が痛いといっても胃そのものの症状なのか、肝から圧迫された結果なのか、どちらもあるけど、よりメインの原因は何かと絞り込んでいくのは難しいことです。
でも敢えて1穴にこだわってくださったおかげで、鍼灸医学はまた発展したのだと思います。
次回はたくさん打つ鍼について、感じるところをお話します。