体の中に小さい体がある~東洋医学の整体観
東洋医学では、体のある部分に体全体をあてはめて考えることがあります。
たとえば、耳ツボは、人体をさかさまにして、背中をまるめた横向きの姿として。
高麗手指鍼では、手のひらがお腹側で手の甲が背中側を表し、中指が首と頭、人差し指と薬指が腕、親指と小指が脚と配当しています。
他にも、夢分流の腹診ではみぞおちの部分が頭にあたります。
中国の朱氏頭皮鍼でも頭に人が寝そべっている配当になっています。
尺膚診といって、手が頭部、手首から肘が胴体という配当もあります。
顔面気色診では、顔面に人型がはりついている形です。
このように、東洋医学の宇宙観は、大きな宇宙の中に小さな宇宙がいくつもあるというように、整体観も、人体の中にいくつものミニ人体があって、体の中の様子をうかがい知るヒントになります。
例えば、手首に何かおかしなツボがあれば、のどで何かが起きているとか。
また逆に、のどが痛いなら手首の熱く張っているツボを刺せばよいとか。
検査方法のなかった時代に、体の中で何が起きているかを、体表に出ている皮膚の変化で一生懸命にさぐったのでしょう。
気になる皮膚の部分に鍼や灸をすると、ノーマルな皮膚になって、病もよくなっていく・・・東洋医学はそんな知恵の集積です。
現代は古代の特権階級の生活と似ています。
しんどいことは下々(機械)がやってくれて運動不足。
美食の氾濫。
権力争い(お金儲け)や人間関係のストレス。
灯りの下で夜更かしする。
古代中国の宮廷で発達した鍼灸ですから、現代に合わないはずはない!
可能性は無限です。