鍼の本数(2)~一般的な中医学で施術されている鍼灸師の場合
今回も私の経験からの印象を述べます。
一般的な中医学では、臓腑の状態を見て、バランスの狂っているツボを左右とも刺します。
腎は弱っている、肝は血が足りない、脾は水滞を起こしている、肺と心は熱を持っている、オケツもある・・・など
頭から足まで10~20本くらいでしょうか。
中医学でも1~2本しか刺さない鍼灸師もおられますが、その場合はたいてい鍼を細かく動かすテクニックで効かせます。
刺して置いておく置鍼の場合、ほとんどの書物には30分置くと書いてあります。
東京で1回2万円の中医学の施術をされる鍼灸師に施術を受けたことがあります。
2本の置鍼で左右ともに打ってくださいました。
たまたま私との気の交流がうまくいかなかったのか、正直、あまり変化を感じず、あとは整体的な手技で改善してもらいました(汗)
左右ともに打ってもらうと、あまり気の動きは感じません。
ゆっくりと変化していきます。
しかし、以前に「多数鍼あなどれん!!」という体験をしました。
10数本打ってもらって置鍼後、鍼灸師がお忙しくて30分以上ほっておかれてました。
すると、ゆっくりと気の流れを感じたあと、急に体の奥の方の緊張が溶けて、全身脱力状態になりました。
だるくてしんどい感じではなく、夏のビーチで心地よくいつまでも寝ていたい感じ。
「あ~30分置鍼の意味がわかった」と思いました。
1本鍼は大将戦ですが、多数鍼はたくさんの局地戦で、あちこちの結果を集めて勝敗が決するまで30分かかるのだと納得しています。
別のたとえでいうと、水路の水(体の気)が流れない時、1本鍼は重機を使って一気にヘドロを取り去る感じ、多数鍼は、あちこちで少しずつ高低差をならし、全部が平らになったところで、水を流してみると流れたよという感じです。
わかるかな~?
タモリさんが行かれている鍼灸師さんは100本打つことで有名になられました。
多数鍼の心地よさがあるのでしょう。
ただ、大病をされて体力がなくなっている方には、絶対に少数鍼です。
最後の最後の時まで役に立てる鍼灸師でありたいです。