鍼灸師の頭の中は?
今日は二十四節季の9番目、芒種です。
梅雨入り、田植えの季節。
世間の米騒動に惑わされず、おいしいお米がたくさん実りますように。
東洋医学といえば、「気血水のバランス」という観点での解説が多いですが、中医学では、陰陽・虚実・表裏・寒熱という8つの分類をもとに、体の症状を分析します。
- 陰陽・・・・ざっくりと相対的なもの 子供は陽、老年は陰。上半身は陽、下半身は陰など。
- 虚実・・・・余分なものの詰まりが実、あるべきものが足りないのが虚
- 表裏・・・・体表面での戦い(皮膚のゾクゾクなど)が表、内臓の負担のように体内の変動が裏
- 寒熱・・・・体表・体内の冷えは寒、体表・体内の暑さは熱
たとえば、葛根湯は「表寒実」に対する風邪薬です。
体表でしっかりとゾクゾク感じ、節々が痛くなったり熱が出そうな感じ。
冷えが体内に入ってこないようにガードするために、冷えを感じる背中や首筋がこったように固くなる。
それに対して、桂枝湯は「表寒虚」に対する風邪薬。
寒気は体表でゾワッとするくらいだが、鼻水が出たり頭がちょっと痛かったり、少し風邪症状あり。
少し汗ばむ感じで、微熱があったりする。
これは体のガードが弱って、風邪に入り込まれかけている。
というように、虚実、表裏、寒熱、どの組み合わせかで、対処方法が変わるのです。
ツボの選択、刺し方、鍼かお灸か、が変わります。
だから、その組み合わせを決めるのに、たくさんの質問をすることになります。
臨床では、「昨日お腹を下した」と告げたとたん、鍼灸師から、
どんな便でしたか?ねっとりかシャバシャバか?
においはキツイ?あまりない?
下した回数は?時間帯は?
お腹の痛みはあった?なかった?
下した後はスッキリした?ちょっとゲッソリした?
下す前に、寒気や冷えた感じはありました?
吐き気は伴った?お腹の症状だけ?
などと、しつこく尋ねられることになります。
そんなに詳しく覚えてないですよね、実際。
でも、何か症状が出た時には、自分の体の感じ方をよく観察しておいてくださいね。
西洋医学では、感染か食中毒か分析して、処方を決められると思います。
中医学では、体質を加味した分析になるので、より細かくオーダーメイドの施術になります。
子供やあまり病気をしない人は、頭痛も腹痛も「実熱だけ」というように単純なのですが、歳を重ねると、頭痛は「虚熱」、腹痛は「寒実」などと体の各部で一致しません。
「こじれている」状態です。
まず虚の部分にはエネルギーが回ってくるように、実の部分は余分なものを流し去るように施術して、まんべんなく気血が巡るようにもっていくため、よくなるのに時間がかかります。
さらに、この「虚熱」が気血水のいずれの虚なのか、14経絡のどの経絡の虚なのか、ツボの様子やさらなる質問で、原因を分析するのです。
「めちゃくちゃ質問されるなぁ」「なんかブツブツ言いながら施術してるな」というときは、鍼灸師の頭の中が大忙しになっています。
そっと見て見ぬふりをお願いしますね。
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枚方公園駅前 レディース鍼灸リブレ院長