鍼灸はなぜ効くのか~最新の研究
今日は二十四節季の8番目、小満です。
急に蒸し暑くなってきましたが、バラはいい香りを放っています。
昭和医科大学教授の砂川正隆先生は、東洋医学会のリーダーです。
漢方薬研究されるドクターが多い中、鍼灸がなぜ広範囲の分野に効果があるのかを、地道に研究してくださっている、我々にとってはありがた~いドクターです。
先日、砂川先生のオンライン講義がありましたので、報告します。
(医学用語が多いですが、赤い字だけでも読んでもらえたら!)
先生の研究テーマは、
鍼の効果として→
- 鎮痛
- 免疫調節機能(NK細胞を活性化させる)
- 抗ストレス作用
- 駆瘀血作用(ドロドロ血液をサラサラに)
- しびれに対する作用
- 体温調節作用
灸の効果として→
- 抗炎症作用
これらを証明する実験、論文を意欲的に出されています。
ヒトの体でできることは、体温の変化や血液検査で炎症やホルモンの数値がどう変わるか、くらいですが、マウスを使った実験では、神経の伝達における変化や、免疫細胞の動きなどを追いかけて研究すると説明されていました。
結論から述べると、鍼灸による生体の変化の特徴は
① 中庸作用を持っている
② 西洋薬にない作用機序を持っている
と結論づけていました。
どういうことか、簡単に説明しますね。
① の中庸作用とは、「体にとって一番最適な状態にもっていく」ということ。
たとえば、
a)冷えている人に鍼灸をすると温まる
b)冷えてない人に鍼灸をしてもさらに熱くなることはなく変化がない
c)熱がある人に鍼灸をすると解熱する
という作用です。
また、ストレスに対する鍼灸をすると、大きなストレスを与えた後には「交感神経を抑える作用」があり、小さなストレスに反応しないマウスには「危機に対抗する交感神経を働かせる」という結果が出ています。
鍼灸は一方向だけの作用ではない、ということです。
② は、西洋薬では薬は一つの作用しか持っていないが、鍼灸はいろんなアプローチを同時に行うということです。
たとえば、痛みを抑えるのに、ロキソニンは炎症を抑える、リリカは神経の伝達を抑えるというように、それぞれ作用がはっきり決まっています。
また、慢性の疼痛になると、痛い場所に作用する薬の効果は約3割といわれています。
そして、痛みに過剰反応する脊髄や脳などの中枢性の痛みをとる薬は麻薬・モルヒネ系の薬になってしまい、安易に処方できなくなります。
一方鍼灸は、痛みに限定して説明すると
脳内では
a)ゲートコントロール・・・脳に入る血流に門番がいる
b)内因性オピオイド・・・脳内モルヒネ
c)オキシトシン、オレキシン神経系・・・脳内ホルモン
d)神経伝達物質 シナプスでの疼痛抑制・・・痛みを和らげる神経が反対方向に流れる
e)脊髄の入り口で中枢性感作性の抑制・・・脊髄での感じ方を鈍らせる
f)ツボ、刺激の場所で 肥満細胞が集まって少量のヒスタミン放出→ADP,ATPの分泌増加
これらが理解できなくても、1本の鍼、1か所のお灸によって、いろんな場所でいろんな反応が同時に起きる。
それぞれの反応は微細な変化だが、ツボと神経や脳で「複合的に体を守る変化」が起きているわけです。
鍼灸はまだまだ人口の4%しか体験がないとか。この素晴らしい医学がどんどん科学的に解明され、鍼灸を受けたいと思う方が増えることを願っています。
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枚方公園駅前 レディース鍼灸リブレ院長